モノに宿る物語

朝から九州新幹線で熊本へ。今日は高校演劇部の生徒たちを対象にした脚本ワークショップ。午前中は、ざっとギンギラの世界観を説明し、昼食をはさんで午後からは公演映像をみせながら細かく解説。……
(略)
ワークショップの最後は、それぞれの学校ごとに課題の発表。事前に「自分の学校をキャラにして、取材を元に10分の物語を作る」と言うお題を出していたのだ。
デザインに走りすぎて使いにくい校舎の話や、古い校門と新しい校門を主役にした学校の歴史、銅像がモノ語る話、苦労して残した校庭の木の話など、どれも「知ってるようで知らない身近な物語」で楽しい。生徒たちは、お互いの話に笑ったり感心したりと良い感じ。「身近なモノを通して人々の物語を知る」という、ギンギラの醍醐味を体感してくれたと思う。
今回は1日だけのワークショップなので、ボクの目標は「物語の完成」ではなく、「物語を作る楽しさを見つけるキッカケ作り」。今日の体験をキッカケに、部活で物語ごっこをするようにと伝えて話を締めくくった。

熊本にて脚本ワークショップ / 大塚ムネトの超不定期日記 2012年2月26日

 人間の観点ではなくモノを通して間接的に人の物語を綴る手法は、大塚氏が主宰する劇団「ギンギラ太陽’s」の基本スタイルなのだそうです。人によって使いこまれたモノを語りの視点にすると、人間が外部のモノに働きかける行為を通して、外的な形でモノに宿った人の営みが浮かび上がってくるのでしょう。