デスブログ

 今朝のW杯の日本・デンマーク戦に関連して、「デンマークが『デスブログ』のせいで負けた」とかって話題が盛り上がっているらしい。
 本気で不思議がっている人もいるかもしれないけど、実際のところあれは、予言トリックの効果をブログ読者が勝手に読み込んでいるってだけの話だ。「ノストラダムスの大予言」が流行っていた時にも、「『諸世紀』にはあのこともこのこともみんな書かれていた、ああもうだめだ人類オワタ」って言われていた。でも、予言を後付けで当てはめるのは驚くほど簡単だ。しかも日常言語は多義的に解釈したり隠喩・換喩の類を適用することが非常に柔軟に出来るから、曲解によって「これはあのことの予言だったんだ、恐るべしノストラダムス」なんていくらでも言える。
 もし本気で「デスブログ効果」を検証するなら、過去に起こったことではなく、現在書かれていることの中から「これはデスブログ効果がある」と考えられる記述を確定して(この確定は未来になってから勝手に変更してはいけない)、それが実際に未来に実現するかどうかを確認するという手がある。つまり、本当に予言は成就しているのかどうかを、後付けではなく文字通り未来についての「予言」としての有効性において測定するのだ。例えば、2010年6月23日の日記で「日本に戻ると イギリスの、というか ヨーロッパの良いところを 本当に実感するよ~!」「個人的には アメリカにも住んでみたいなぁ~」「言葉解ればフランスも~!」という記述があるので、これらの国についてもデンマークと同じ効果が働いているかどうかを見てみればいい。フランスは敗れたけど、イギリス(というかイングランド)とアメリカと日本は決勝トーナメントに進出しているし、ヨーロッパ勢もドイツやオランダなどが決勝T進出していて決して「ヨーロッパ勢全滅」にはなってないよね?
 過去に起こったことによって判断する方法もあるけど、この場合には時事トピックに合わせてブログ記事を任意に抽出・引用するのではなく、今までの当該ブログの全記述の中で「デスブログ効果」の認められる記述がどの程度の割合を占めていたのかを計測する必要がある。「隣のパンやでバゲット買ったさー」(2009/9/30)の後でバゲットが絡む大事件が発生しているか、「やはり渋谷は刺激的な街でした~」(2010/1/25)の後に渋谷で通り魔事件が発生したり隕石が落下して緑色の怪物が出現しているか……こういった検証を過去の記事すべてに対して行って、実際に「デスブログ効果」が認められる記述が占めるパーセンテージを(センテンス単位でも文字数単位でもいいから)算出してみればいい。
 でも、そんな手間をかける人はいないだろう。「デスブログ」で騒いでいる人は、単に「またデスブログだーうわー」とエンガチョごっこで盛り上がりたいだけなんだろうから。