パターン

「パターン」とは、その定義からして、複数回表れるものだ。宇宙に一度しか表れない構造は、パターンとは言わない。しかし、一見すると違うものを「同一である」と見なすことができれば、それはパターンになりうる。このように、パターン認識のためには抽象化の能力が不可欠である。なぜなら、抽象化の能力というのは結局のところ「あるものを別のものと同一視するために、余計なものをそぎ落として理解する」ってことだからだ。だが、それがすべてではない。パターンの「存在」を認識するためには、差異が不可欠である。生まれてから日本人しか見たことのない人は、「日本人の顔」というパターンが存在することに気づかないだろうが、パターン認識の能力は生まれつき持っているので、西洋人の顔を 2、3人 見ればすぐに別のパターンだと認識できるだろう。何が言いたいかっつうと、人間、生まれつき頭がいいだけではだめで、やはり「経験」が重要っつうことなのである。

たべすぎ・ねっと 2010/5/29

 同一のものが回帰するという現象を認識するには、当の同一のものだけではなく、それと同じではないものを「同じではないもの」として同時に認識できなければなりません。自分にとって重要なものを重視するあまり、それ以外のものを視野の外に追いやってしまうと、やがて肝心の重要なものすら見えなくなってしまう、という皮肉。
(厳密に“同一”なるものはあり得るのか、という問いもここでは成立するわけですが、それはさておくとして)