データベース的、司会的

今回私は初めて、研究発表の司会をするように命じられた。(略)……なかなかどうして、これでもたいへんなのだ。あ、いや、鐘を鳴らすのがたいへんなのではない。発表が終わったら、それに対して簡潔なコメントを言わねばならない、ここなのである、たいへんなのは。

コメントと言っても、司会者がいきなりズバズバと批判を述べるわけにはいかない。(それは質疑応答でなされる)。そうではなく、いかに発表が有益で良いものであったのかを述べて、発表者の労をねぎらうのである。要するに、発表を誉めるのが司会者の仕事である。私はお2人の方のご発表の司会を仰せつかった。初めてだったので、たいへん緊張した。発表の間中ずっと私は、「何と言って誉めようか・・・」と思案していたのである。

お2人の方を全く同じ言葉で誉めるのも芸がない。そこで、ノートをとってるふりをして、「たいへん興味深い」、「明せきな」、「すばらしい」、「すぐれた」、「得るところの多い」、「みごとな分析による」、「クリアーな論理の」、「分かりやすい」、「説得力のある」など、何にでも使えそうな誉め言葉を思いつく限り書き出してみた。そしてそれらを適当に組み合わせて、お誉めすることにしたのである。しかし、うっかりして少し組み合わせを誤ったみたいである。会場に同席していたJ-von氏が後で、「あのコメント・・・な~んかちょっと違うところを誉めてましたよ」と言っていた。う~む、しまった。誉め言葉を捜すのに夢中で、あまり発表の内容は聞いてなかったからなぁー。(深く反省)。

いのうえじゅんの研究室 2003年10月3日

 何にでも使える万能の言葉というのはなかなか無いようで……。