古本

 ……午前は、古本屋さんに不要になった本を売った。
(略)
 古本屋さんが、購入する本の中をぱらぱらとチェックする。線引きなどがないかを確認するのはわかるが、何と中に変なものが挟み込まれていないかも見るのだという。妻以外の女性の写真などけっこうあるそうだ。一度は離縁状もあったとか。お札が入っているのは歓迎ですけどね、とのこと。そりゃそうだ。
 この分だと私も何か挟んでいる可能性がある。しおりがわりにそこにあったものを挟むことはままあるからだ。お金はないとは思うが、女性の写真はあるかもしれない。

Poeta Doctus - Tagesbuch 2000年3月14日

 新刊書にはない、人手を経た古本ならではの“生活感”の残照みたいなものなんでしょうか。
 女性の写真ほど意外なものではなくても、自分が手に取るまでにその本が経てきた歴史を感じさせる“遺物”を見つけることがあります。例えば文庫本の古本に挟んである紙しおりには、その本が発刊された当時の「今月の新刊」が並んでいたり、角川文庫なんかではその当時封切りされていた角川映画の宣伝が書いてあったりして、眺めていると結構面白いものです。