オールライダー映画

 連続ツイートをちょっと増補しつつまとめ。

 久々に『オールライダー対大ショッカー』を見ていた。仮面ライダーディケイド最初の劇場版で、平成ライダーになってからのライダー全員集合映画の第一弾だ。

 平成ライダーは作品ごとに独立した世界観を持っているため、多作品のライダーが一つの世界観に揃うということはなく、その点で『ディケイド』自体がTVの時点で既に飛び道具的な企画だったが、映画ではさらに昭和ライダーを含めた「全ライダー勢揃い」が宣伝でも大きくアピールされた。
 前半のライダーバトル決勝では、ディケイド・ディエンド・クウガのレギュラー組と対戦するのが、V3・スーパー1・BLACKのタッグ。昭和ライダーの中でも世代が偏らないよう満遍なく年代が散らしてあり、本作がかつてライダーを見ていたお父さん向けの側面を強く持っていることの現れである。敵組織の「大ショッカー」も、初代の敵組織ショッカーの構成を基本にしつつ、幹部としてBLACK RXのジャーク将軍がそれなりに目立つ形で登場するなど、いかにも広い世代にアピールしようという目論見がよく見て取れる。
 多作品のライダーが勢揃いする「お祭り企画」として、TVも映画も盛り上がった『ディケイド』だけど、一方で一本のドラマとしては、展開が行き当たりばったりで全体としての筋が通らない点がよく批判された。
 とは言え、私自身はこの『オールライダー』映画で登場した門矢兄妹の話が、結構好きだったりする。TV本編とのつながりがいいのは『オールライダー』よりも後に製作された『MOVIE大戦2010』のほうだけど、個人的にはむしろこっちの『オールライダー』のほうを“正史”として推したい気分だ。物言わぬ誰かが黙々と作った(作ってしまった)「世界をつなぐ橋」というインフラの上で、お気楽な旅人が自由に行き交い、力を振るう巨大組織が跳梁跋扈する。旅人はそれを作った人を振り返ることもなく、組織も作った人に一応の礼は払うが結局ただ利用するだけ。このあたり、ストーリーとしても単なるお祭りだけでなく、なかなか「平成ライダーらしい」構図になっていると思う。そしてこの流れなら、ライジングアルティメットはむしろ小夜がユウスケに憑依?している時限定のフォームにした方がよかったんじゃないかという気がする。デザインにもそれなりの禍々しさがあるし、「ダークサイド小夜専用形態」のほうがすっきりしたかも。

 公開前にスチル写真や映像宣伝でクローズアップされていたオールライダー横一線整列の光景は、初めて見た時には全世代のライダーと怪人がそろい踏みする図に非常に感慨深いものがあったけど、その後オールライダー的な映画が何度も登場して、今ではだいぶありがたみが薄れてしまった感がある。