暗号

1面に「空席の椅子」=中国紙掲載、ネットで話題に(朝日 2010年12月14日)

 【北京時事】12日付の中国・広東省の有力紙・南方都市報が記事の内容とは関係ない「空席の椅子」の写真を1面に掲載したことがインターネット上で13日、話題になった。空席の椅子は、ノーベル平和賞授賞式に出席できなかった民主活動家、劉暁波氏を象徴しているためだ。
 1面にはほかに、「ツル」「平らに敷かれたじゅうたん」「手のひら」の画像も掲載。これらの単語をつなげると、「平和賞」を意味する中国語と発音がほぼ同じになることから、ネットユーザー間で「解読できたか?」とやりとりが広がっている。
 当局に批判的な記事も多いことで知られる同紙だけに、劉氏の平和賞受賞を認めない中国政府を批判する意味合いがある可能性もある。

http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201012130120.html

 不特定多数に向けられた、暗号のようなものかもしれません。椅子の写真に込められたメッセージを読み手が“復号(デコード)”するには、復号の鍵となる「椅子の文脈」を事前に知っておく必要があります。編集者は、読み手が「椅子の文脈」(=ノーベル平和賞の顛末)を知っていることをある程度期待した上で、表紙に採用しているのでしょう。このような文脈情報のルートは、公的に表明することはなかなかできませんが、非公式な“世間知”に近いものとしてしぶとく生き続けるのかもしれません。